みかんぼうや

MONOS 猿と呼ばれし者たちのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)
3.6
コロンビアの人里離れた秘境の大自然のスケール感と美しさが映える映像とは対照的な、狭い人間関係の中に起こる人間の狂気。MONOS(モノス)と呼ばれるゲリラ部隊の一員として育て上げられた少年少女がアメリカ人の人質を監視する中で起こる、服従と反逆と不協和音の物語。

「心臓を捧げよ!」という調査兵団(進撃の巨人より)の声が聞こえんばかりのゲリラ兵として生きるための規律と特訓、そしてコロンビアの大自然の中に見える生きる少年少女たちの完全に俗世間から隔離された狂気じみた日々の生活から始まるオープニングに、いわゆる“先進国が作る映画”とは明らかに異質な独特な不穏な空気を感じ、序盤からワクワクが止まらない。

派手でうるさいドラマチックな演出もなくドキュメンタリータッチで、この先何が起きるのか?という興味を煽り続けられる・・・という前半のゾクゾクさせられる感覚からすると、終わってみればそこから先の展開にはさほどの驚きや興奮はなく、序盤に感じた“狂気性”にも後半には慣れてしまった。

今まで触れたことのない世界に魅せられた一方、映画としての“面白さ”という点では、展開的にもう一歩驚かされるものが欲しかった。コロンビア内戦の知識をもう少し持っていれば、この内戦が若き少年少女たちがこんな形で戦争に巻き込まれた悲劇をもう少し深く感じることができたのかもしれない。
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