いずぼぺ

オフィサー・アンド・スパイのいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.6
1894年のドレフュス事件を抑えたトーンで語る作品。
プロイセンとの戦争に敗けたフランスでの軍内部機密漏洩事件。
この時世界は日清戦争真っ只中。
少し前にプロイセンのビスマルクが辞任。
世界は初めての世界大戦に向けて、あちこちできな臭い事が起こっていた。
ヨーロッパにおける反ユダヤ主義は、ここで始まったわけではないが、かつてよりも風当たりがキツくなって来ていたのではないだろうか。緩やかに多様な民族と包括的な国家の形を構成してきた枠組みが機能しなくなってきていた。
誰もが自らのアイデンティティを主張する代わりに、マイノリティへの攻撃や差別をし始める。ユダヤ人やロマ人に対してだ。
この流れのなかで起こったドレフュス冤罪事件を読み解くと、後にシオニズム運動の発端と言われていることにも納得する。
事件のあらましは観ていただいたらよい。
最後のふたりのやり取りがピカール大佐のぶれない判断基準が示されてて好きだなぁ。
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