ひろぽん

ルパン三世 THE FIRSTのひろぽんのレビュー・感想・評価

ルパン三世 THE FIRST(2019年製作の映画)
3.6
初代アルセーヌ・ルパンがたどり着けなかった秘宝ブレッソン・ダイアリーを狙うルパン三世が、考古学を愛する少女レティシアと協力して謎を解きながら、世界を股にかけた大スケールのお宝争奪戦を繰り広げていく物語。


考古学者・ブレッソンが遺したブレッソン・ダイアリーに隠された「エクリプス」という重力を操る協力な兵器を巡り大冒険をしていくお話。

『カリオストロの城』へのリスペクトが存分に感じられ、ネオナチの登場や考古学者による宝探しが『インディ・ジョーンズ』の様で、2つの作品が掛け合わされたような作品になっている。

3DCGということで前編フルCGで描かれるルパンは、アニメとは違い少し違和感があるが慣れてくると問題なくみれる。その反面、ブレッソン・ダイアリーなどの金属を扱った物体の重量感や質感がとても上手に描かれていた。

ルパンはいつになく先見の明があり、先読みした行動がクールで惚れるくらい格好良い。相棒の次元と五ェ門は相変わらずお助けキャラとして頼もしい味方であり、見せ場も少しあるが今回は控えめな印象。メインはルパンとレティシアが2人で謎解きをしていくからレティシアのインパクトの方が強い。

不二子は色物キャラのイメージだが、今作では色気が全くなく、ピンチの時にヒーローの様に登場して華麗にルパンたちを助けてくれる救済措置のような立ち位置。故に魅力があんまり感じられなかった。


今作最大の見どころは、ブレッソン・ダイアリーの謎解きをして「エクリプス」が隠されているという遺跡でのレザートラップをルパンが見事に突破してしまうシーン。『ルパン三世のテーマ』と共に見せ場のアクションが始まるシーンが本当に格好良い。

トラップを突破した後に、初代ルパンのシルクハットと杖をスマートに身につけ華麗なるポーズを決めるルパン三世は本物の紳士の様でめちゃくちゃ輝いていた。

そして、銭形警部と共闘していくルパン一味と悪の組織との対決は先の読み合いで最後まで面白かった。

時代背景は1960年代後半という設定なのに、重力を操ったりマイクロブラックホールを発生させたりとSFチックな演出も良かった。

ルパンのどんなに悪い境地に立たされ追い込まれても、ピンチを楽しみ諦めずにスリルを満喫する精神には見習うべきものがあると思う。そして、去り際もあっさりしている彼らの行動が本当に好き。

宮崎駿監督の事をリスペクトしている山崎貴監督の作品は、やっぱり無意識にも宮崎駿監督の作品に似てしまうのかもしれない。ストーリーに目新しさはないが、ルパンを存分に楽しめる作品だと思う。
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