takanoひねもすのたり

ザ・ゴーレムのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ザ・ゴーレム(2018年製作の映画)
2.8
イスラエル産の歴史伝承物。

17世紀のユダヤ系コミュニティに住むハンナが、村が侵略されるのを防ごうとカバラ数秘術を使い、ゴーレム(泥人形)を造り出し、村の危機を救うが、やがてゴーレムが村人まで殺害し始め……というダークファンタジー+ホラー。

ハンナは7年前に息子を亡くし、その喪失の恐怖から逃れられていない。
代わりにカバラ数秘術の解読に夢中になっておりゴーレムのこともそれで知る。

村の危機(立ち向かうべき)という一心で密かにゴーレムを造り出し……成功してしまった。しかもゴーレムの見た目が、亡くした息子が生きていたらこの年頃という少年の姿だったので、怪物でもあるゴーレムに対して母性との葛藤になっちゃう。

17世紀のユダヤ教に限らず、結婚した女性に求められるのは『子供』であり、より『息子』なんだなあ……(ハンナの旦那さんはそれでも良き夫ではあった)
今ではそんなこと言う人はいない(と思いたい)けれど、日本も『嫁して3年、子を生さない嫁は家を去るべし』『石女』と謗られた時代があるし……子を成し産むのが当たり前に義務なのがなんとなく辛い。

ハンナの中で『失った息子を取り戻したい』のが『新たに子を成す』ではなく『ゴーレム』へと向いた気持は分からなくもないかも。

隔離されたユダヤ系コミュニティの、どことなく魔術的な雰囲気は良かったです。