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美少女戦士セーラームーンEternal 前編のmaverickのレビュー・感想・評価

3.7
漫画『美少女戦士セーラームーン』を基に映画化された『美少女戦士セーラームーンCrystal』の続編である劇場版。


過去にアニメ化された旧アニメ版とは別物であり、いわゆるこちらが本家になるのだろうが、やはりどうしても比べてしまう。そして自分はあちらのほうが好き。絵は『Crystal』の時と比べて格段によくなっているが、昔の作画の方がクオリティが高い。それを一番感じるのが変身バンク。昔と動きは一緒でそこは感動するものの、神作画であった旧アニメ版と比較するとその出来栄えが如実に表れる。あの変身バンクの神作画は今見ても鳥肌立つもの。変身バンク以外では本作も作画が良いところもあり、そこはまだ許容範囲。イマイチだなと感じるのはテンポの悪さであり、そのせいで全体的に退屈だった。絵も演出もさほど悪くはない、脚本に関しては旧アニメ版も良いわけではないし、むしろここは同等だと感じた。ギャグとシリアスが上手く使い分けてあり、要所要所で盛り上げて一気に引き込む旧アニメ版はやっぱり良く出来ている。社会現象を巻き起こし、海外にも多くのファンを生み出したのは、単にキャラクターの可愛さや作画の良さだけではない。昔の方がやはり作品として優れている。比較せず、本作単体で観てもそこまで惹かれる作品ではないなと感じたのが正直なところだ。

主人公の月野うさぎの声優は、変わらず三石琴乃さん。うさぎちゃんといえば三石さんしかいないということ。今も変わらず演じられることが驚きであり、変わらぬうさぎちゃんの声が聞けて本当に嬉しかった。他の声優さんは変わったけれど、全体的にそこまで違和感はない。みな過去の声優さんをリスペクトしているのが伝わってきた。レイちゃんだけは原作寄りのキャラクターとなっているので大きく印象が違う。このキャラクターに合った声でよかったけれど、でも個性が薄くなった分、キャラ分けが微妙になっちゃったかなと。昔のレイちゃんのキャラは強烈で、あれが大きな魅力だったものなぁ。ここも比較しては悪いのだけど、旧アニメ版の声優さんはみんな個性的で唯一無二の声を持っていた。そこも『セーラームーン』の大きな人気の要因だったよね。


「デッド・ムーン編」を前後編で描くわけだが、それに関しては上手くまとまっていると思う。前編としての後編への橋渡しも綺麗にされている。でも全体的にのっぺりとして印象に強く残らない。酷い出来とかではないけれど、期待に反しての部分が大きい。後編に期待といった感じだ。

旧アニメ版のファンからすると微妙な出来。でも原作のファンからは評価も良いみたい。原作寄りで作り替えたわけだから、そこは正しかったようだね。
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