HAYATO

8番目の男のHAYATOのレビュー・感想・評価

8番目の男(2018年製作の映画)
3.8
2024年2本目
韓国で2008年に導入された国民参与裁判制度をテーマにした法廷ドラマ
初めての国民参与裁判として全国民の注目が集まる中、8名の陪審員が審議するのは証拠も証言も全て揃い、有罪が確実視されていた殺人事件であったが、8番陪審員となった青年・ナムが素朴な疑問を繰り返すうちに、裁判の先行きは次第に不透明さを増していく。
監督・脚本のホン・スンワンは、ロースクールの聴講、判事へのインタビュー、模擬裁判の見学など、入念なリサーチを行った。
アイドルグループ「ZE:A」のメンバーであるパク・ヒョンシクは、本作が長編映画デビュー作
法学部生の自分としてはとても引き込まれる内容だった。
陪審員制度を中心に描いた作品であるため、『十二人の怒れる男』とかなり似た部分があり、それぞれの陪審員が個性豊かに描かれている。
一般市民から選ばれた年齢も職業も性格もバラバラな8人が、試行錯誤を重ねながら殺人事件の真相を探っていくストーリーは、裁判を身近なものに感じさせ、自分だったらどうするだろうかと考えさせられる。
さまざまな経験や知識を持った市民が刑事裁判に参加することによって、証拠を多角的に評価することが可能になるという陪審制のメリットが如実に現れていて、陪審員がいなければおそらく本作で描かれた裁判の結果は変わっていただろうと思う。
日本でも2009年に裁判員制度が導入されているので、本作を通して改めて陪審制の意義を再認識することができてよかった。
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