櫻イミト

Islands(英題)の櫻イミトのレビュー・感想・評価

Islands(英題)(2017年製作の映画)
3.5
現代フランス幻想映画の旗手の1人、ヤン・ゴンザレス監督の過激な幻想恋愛映画。ユーロライブにてジャン・ローラン監督「The Iron Rose(鉄の薔薇)」と二本立て特集上映。カンヌ国際映画祭クイア・パルム短編賞受賞作。

※露骨な性表現があるので注意

エロティックな前衛パフォーマンスの舞台―ー絡まり合う全裸の男女。突然ナイフを手にした暴漢が襲う。赤覆面の下には焼けただれた顔。女は優しく口づけし、男は暴漢の焼けた性器を口に含む・・・終演後、観客のゲイカップルは夜の公園で愛し合う。周囲の暗闇から大勢の男たちが、自慰行為をしながら姿を現し。。。

ジェス・フランコ監督定番の前衛パフォーマンス+ジャン・ローラン監督のセンチメンタルな闇の恋人の彷徨を引用し、スタイリッシュかつ露骨な表現でアップデートさせたと思われる一本。全身火傷の暴漢は「エレファントマン」(1980)の引用と推測する。

ジョン・レノンとオノ・ヨーコによるラヴ&ピースのパフォーマンス「ベッド・イン」(1969)を、性的マイノリティと障碍者を交えて現代的に表現したように受け取った。映像は幻想的に美しく仕上げられているが、性表現が即物的なため詩情には少々欠けるように感じた(自分が日本に住んでいて隠された性表現に慣れているのも影響か)。

ゴンザレス監督はジャン・ローラン監督を敬愛していて、本人が「『鉄の薔薇』と一緒に上映するならこれを」と自選したのが本作との事。最近になって初めて巡りあったユーロ・アングラ映画の世界。好みの作品が多そうでまだまだ堀りがいがありそうだ。

※本作はゴンザレス監督の次作で代表作「ナイフ・プラス・ハート」(2018)とキャストが被っていて、内容的にも姉妹編と言われている。同作の主人公となるゲイポルノ女性監督が撮った一本が本作と解釈できるとの事。
櫻イミト

櫻イミト