エイプリル

パパと見た星のエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

パパと見た星(2018年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

親子二人だけの映画館とか劇中劇の映像とか、映像的にかなり雰囲気が良くてその点だけでもとても良かったです。
ビクトルの人物描写も、具体的なアクションをしてないわけじゃないけどあんまり効果のなさそうなことを延々と続けてる感じ、すごいリアルな感じで身につまされる気分にもなりました。
序盤からあんまり本気度を感じられなくて「本当にこの人映画撮りたいんか?」と思って観てたんですが、最後まで観ると映画自体に執着していたというよりも妻が死んだ時にやっていたことを意地になってやってただけってことが分かるのも良かった。確かに映画撮るのやめちゃうと妻が犬死にになってしまったように感じてしまうもんね。
最後に妻を拒絶することで、彼を縛ってたものが愛じゃなくて執着と後悔だったということが分かるのも良かったです。

後半の逃走劇はギリギリの状態の親子の切なさというか、もうこれが最後の親子の交流になるのかも…と思えるような言外の雰囲気も滲み出てて、総じて雰囲気で物語ることがかなり上手い映画だと思いました。
状況が悪化したまま終わるので人によっては「後味悪い系の映画」としてしまいそうですが、ビクトルは妻から解放されたので今後ちょっとは現実に沿った生き方ができるかも…と思えるようなラストでもあって、希望はちょっとだけ感じられました。

あとタイトルの「パパと見た星」について、明確に二人で天体観測をするようなシーンはないので、これが何を意味するかは人によって違うと思うんですけど、個人的には最後に車中でイングマールが見たハリウッドのセットのイルミネーションを「偽物の星」として捉えてるんじゃないかと思って観てました。
イルミネーションは確かに本物じゃないんですが、イングマール自身が父親の影響を受けて「虚構・空想の中に価値を認める人物」として成長してるということの表現だったらいいなと思いました。
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