エイプリル

サイコ・ゴアマンのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

サイコ・ゴアマン(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

爽快スプラッタモンスター映画、かなり好みの作品でした。
PGもパンドラもどっちもどっちの悪人なんですが、どっちも人間の文化に翻弄されるのはお茶目で、どこか憎めない感じをさりげなく醸し出してて良いです。PGが隙あらば自分語りを始めるのもかなり好きです。
笑えるシーンもたくさんあって、友達は脳味噌になったまま戻らないし、悪口言ってきた通行人を爆散させるし、倫理観がバグりそうな笑いはなかなか他では見られなくて嬉しかったです。
「我々は時間など気にしない」とか言ってたPGが中盤以降は人間社会に影響を受けて「なぜ遅かった?」って時間を気にする発言をするなど、細かい描写も緻密に描かれていて良いです。
ラストはクレイジーボールで決着をつけるのですが、ここのパンドラの動きが最高に面白いので何度か見直しました。ただでも中盤くらいにPGが「クレイジーボール好きかも」って思ってるような描写は入れて欲しかったな…という感じもあります。

ただちょっとミミの性格は看過できないくらいに最悪で、これが原因で個人的な評価がかなり下がりました。ミミのような奔放な性格があったからこそ本作のような流れになったことは理解できるのですが、PGがミミに感化されて人間を好きになった描写もなければ、ミミと精神的な絆を結んだシーンもありません。PGがミミと行動を共にするのはただ石をミミが持っているというだけの話であり、ああいう性格である必然性がなく、ただ不快なだけでした。
PGが最後にミミの家族だけは助けたのも、そもそもグレッグがPGを助けたからであってミミは関係ありません。
何より製作陣が「自由に生きてるミミみたいな人がかっこいい」と思ってる感じがきつかったです。ミミは自由なのではなく単にエチケットが欠如しているだけです。

個人的に好きなシーンは弱ったPGがグレッグに助けを呼ぶシーンです。発言の前にいちいち「ウワーッ!」って言うのあまりにも雑な脅かし方で笑った。

全体的なストーリーラインは大味で、エンタメに完全に振り切ったシンプルな話なんですが、それでもディテールをこだわるとここまで面白く仕上がるというお手本のような作品でした。おすすめです。
エイプリル

エイプリル