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よこがおの42のレビュー・感想・評価

よこがお(2019年製作の映画)
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市子とリサの二面性じゃなく、時々垣間見える不穏さや聞き捨てならない情報や態度がただただ怖かった。人が変わったんじゃなくて元々あったものが掘り起こされたんだ。愛想がよくて基本誰とでも打ち明けられるのに不穏でヒステリックで誰にも見せない部分が奥底に眠っている感じ。

辰男の全てに違和感があった。市子と辰男は似ている。二人にしか分かり合えない何かがあると思う。辰男の中にあるものに市子が寄り添っているだけなのかもしれないが、ひやりとした理解できない同じ不穏さが二人にはあった。

恨みや復讐の対象が間違っていると思う。"変"が一つじゃなくて重なっているせいで複雑になっている。それぞれに悪いところがある。池松壮亮はまた別の"変"だった。彼はずっと何を考えていたんだ?

基子の気持ちの悪さは自分の中にある気持ちの悪さと似ていてとても不快だった。

映画館で観ようと思っていたが観られなくて、それからずるずる先延ばしにしてしまっていた。もっと難しくてぐったりする映画だと思っていたのにすんなり入ってきて怖かった。基本静かだけど後味の悪い"激"が散らばっている。ちらちら思い出すシーン全部奇妙。
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