TakaCine

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのTakaCineのレビュー・感想・評価

4.5
【人間の欲深さ罪深さ】
スコセッシの新作🤩✨
劇場鑑賞、絶対案件☝️

観た直後の感想は、「今村昌平監督の映画みたい」。

人間の不可解で生々しく愚かで、矛盾と欲望にまみれた姿が赤裸々に出てるなあ~と思いました😌

《実話ノンフィクションの映画化》
まるで『復讐するは我にあり』(1979)を観ているようでした。

映画の大半が、欲望のために殺人が行われる場面ばかりで、どうにも不快すぎて物語を好きにはなれなかったけど、巨匠スコセッシの「歴史から消された不審死」を描こうとする強い作家性が凄く伝わってきて、3時間を越える上映時間なのに、ほぼ飽きることなく映画に没頭できました!

本作が、先住民オセージ族が多数犠牲になった実際の凶悪事件を描いていることに驚愕しましたね😰

《一流の演者ばかり》
仏頂顔のデ・ニーロ(まるで悪魔)、間抜け顔のディカプリオ(まるであんぽんたん)、全てを見透かした仏顔のリリー(まるで聖母)など最高の演技が素晴らしくてニンマリ😁👏

先程書いた『復讐するは~』に例えると、デ・ニーロが演じた「町の名士で善人面した悪人」は三國連太郎ぽかったし、ディカプリオが演じた「アホで欲深いクズ男なのに、家族愛はピカ一でいまいち憎めない男」は緒形拳ぽかった😁
(彼らの役柄イメージですよ)

演技が濃厚すぎ😍💕

ジェシー・プレモンス、ブレンダン・フレイザーの助演も良かったです。

《戦慄すべき事柄》
まさに白人は"ショミカシ"(本編で語られます)

次々消えていくオセージ族

保留地の石油と富を巡る陰惨すぎる強奪や殺戮

あまりに身勝手な白人の悪行、勝手極まる人種差別や法規制…物語が卑劣な策略と無情な殺人ばかりで憂鬱になってしまいます😰

でも「そこから目を背けるな!」と、スコセッシが警鐘を鳴らします。

今も変わらず、どこかで強奪や殺戮が行われているからです😭

映画でも言及されるKKKやタルサ人種虐殺…人類として恥ずべき悪行(最近だと、ジョージ・フロイド事件)は、無くなるどころか…💦

映画だけでは理解できないけど、鑑賞をきっかけにして多くの人々に「事件を知ってもらう」ことが大事ですし、スコセッシが選んだ「語り部」演出にその想いが汲み取れました。

ぜひ本作を観て、史実を自分なりに調べてみるのも良いと思います(僕もしてみました)。

原作は、デヴィッド・グラン著「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」(2017)。

《伝承する大切さ》
本作を観ていると、「事実をどう語るべきか? 何を語るべきか?」を改めて考えさせられました。

本作でも、初めは特別捜査官トム・ホワイト視点で描かれる脚本を、ディカプリオの指摘から、アーネスト・バークハート視点に変更することで、より欲望と愛情に板挟みになる人間の苦悩や愚かさが浮き彫りになり、見応えある物語になりました。

とにかく画面と音響の情報量が多すぎて、頭がクラクラしながらも映画に没入していました😵🌀

先住民と白人の恋物語としては『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990)、屈折した疑似父子関係や利権争いはスコセッシ監督の『グッドフェローズ』(1990)を思い出しますし、そもそも数々の西部劇の映画記憶が浮かびました。

ただ先住民は主役ではなく西部劇の悪役として、だったし…子供の頃に好きだった「大草原の小さな家」でも先住民は怖い存在だったので、いかに「事実」でなく「洗脳」が勝っていたことか😰

"History is written by the victors"
(歴史は勝者によって作られる)

そして、蠅は何かにたかるもの

スコセッシは、本作に様々な想いを込めているようでした。

何回でも鑑賞できる作品です。

《備考欄》
「無能力者」という言葉にショック

一回観ただけだと、人物名が頭に入りにくくて、途中途中、誰のことを言っているのか悩んでしまいました。

フクロウやお母さんの臨終シーンが印象的でした。

サイレント映画のようなニュース映像やエンドロールまで手を抜かない音響が面白い。

長い映画なので、トイレ対策に気をつけて🚽(僕は水分取らないで、乗り切りました)
TakaCine

TakaCine