カツマ

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのカツマのレビュー・感想・評価

4.2
ロールプレイングゲームって何故、こんなにもエンタメ性が高いのだろう?仲間たちを集めて、力を合わせて戦って、ダンジョンを攻略し、強過ぎるラスボスをボロボロになりながらも撃ち倒す。それはもはや様式美の世界。だけれども、王道だからこそ、面白く作るのは難しい。間違いなくこれはその成功例の中の一つ。面白かったことがサプライズになるほどに。

本作はRPG(ロールプレイングゲーム)の原点、ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズをリブートした作品で、B級映画かと思えばやたらと面白いと評判になっていた作品だ。元ネタが有名過ぎるだけにストーリーも超王道。捻りもサプライズも少ないが、2時間ほどの時間に上手くまとまっており、とてつもなく良くできている作品である。もちろんエンタメ性も抜群。キャストも何気に豪華で、VFXも素晴らしいという抜け目のない優良映画であった。

〜あらすじ〜

元々は悪を打ち倒す組織ハーパーに所属していたエドガンは、悪の魔導士レッドウィザードに妻を殺され、それがもとでハーパーの誓いを捨て去ってしまう。その後、エドガンは一人娘、キーラを育てるためにも仲間たちと盗みを働くようになり、バーバリアン族のホルガ、ヘッポコ魔法使いのサイモン、詐欺師のフォージらとパーティーを組み、果ては蘇りの石板へと辿り着いた。蘇りの石板があれば妻を蘇らせることも可能だったが、石板を前にして、帯同していた魔道士ソフィーナの罠にハマり、エドガンとホルガは盗賊犯として捕まってしまう。
2年後、エドガンとホルガは脱獄に成功。娘のキーラを託したフォージのもとへと向かうも、何とフォージは大きな街の領主になっていた。フォージのもとを訪れたエドガンとホルガだが、そこには魔道士ソフィーナがおり、フォージとソフィーナがグルだったことが分かり・・。

〜見どころと感想〜

ストーリーの展開がかなり早く、序盤はあまりにサクサク進んでしまいやや心配になるものの、ダンジョンのシーンあたりからRPGとしての醍醐味を完全再現。しっかりドラゴンも登場し、強力なアイテムもゲットしたりと、仲間たちとの悲喜交々の冒険譚が非常にテンポよく描かれている。VFXも全くショボくないため、ダンジョンシーンや戦闘シーンも迫力満点。ドラクエの世界に入り込んだような没入感を楽しむことができるだろう。

主要キャストにはクリス・パイン、ミシェル・ロドリゲスという大作映えする二人を抜擢。キャリアも十分な二人がセンターに聳え立っているため、そこから醸し出される安定感もバッチリだ。そこに若手有望株のジャスティス・スミス、ソフィア・リリスが加わる布陣で、特にソフィア・リリスは『IT』のベバリー役がお馴染みだが、この手のファンタジー色溢れる役柄との相性も良さそうだ。悪役としてヒュー・グラントが出演している点も最高。活き活きと詐欺師を演じるヒューの目尻の下がり具合があまりにもフォージ役にハマり過ぎていた。

この通り、この作品には穴らしい穴が見当たらない。脚本は簡潔で分かりやすいし、ダンジョンや闘技場までスリル満点の味付けでRPGらしい趣向も盛り沢山。キャストも魅力的で、観終わった頃には続編を期待してしまったほどだ。エンタメ性抜群で笑えて(まさかの)泣ける。ここまでゲームの映画化に成功していると、もはや清々しいレベル。とにかくシンプルに面白いので、多くの人にお勧めしやすい映画だろう。

〜あとがき〜

映画のポスターから迸るB級映画の雰囲気を完璧に覆してくるかなりの力作です。ダンジョンシーンあたりからずっと面白くて、ハラハラドキドキの連続。ストーリーもかなり綺麗にまとまっているため、爽やかな余韻に包まれることができました。

興行的にどうだったか分かりませんが、何とかして続きを見てみたいですね。映画館でも配信でも同等に楽しめる、良質な作品に出会うことができました。
カツマ

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