ニューランド

新しいモスクワのニューランドのレビュー・感想・評価

新しいモスクワ(1938年製作の映画)
4.5
☑️▶️▶️『新しいモスクワ』(4.5p) 及び『十三人』(3.3p)

メドヴェドキンは、私の知る限り複数本、といってもこの人の場合2本止まりだが、のアヴェレージが最も高い映画作家かもわからない。嘗てはマリックらもいたが、復帰後傑作連発は続けたが、初期2本のレヴェルは戻らなかった。電車を乗り間違えて、遅れて入ったが、それでも圧巻だ。前の印象も交えて。前回観る前、この作家は伝説の一本化だけと、期待していなかったのだが、正直驚いた。普通に考えれば、製作状況、政治的抑圧、まんま変な映画しか生まれる訳はないのだが。
この作家の二本目の長編劇映画だが、合成部に限らず、劣化や品質低下はかなり酷いが、中身は上回る。前半、なりゆき2人の協力しての·子ブタ追っかけすかされの連続、カーニバル中の踊りが集中沸き立ち、同じくその場での恋の鞘当て(仮装と位置が紛らわしくての·係わる人らも含めての)のあちこち行き来の『ゲームの規則』的具合、2人の内に気を取られ小円を街中で描き続ける車の角度と場をズラせての延々、らは少しのパンフォローあっても基本固定のカットカットで収め·密度を高め動感を秘め詰めてく。逆に2人だけの恋の気持ちの投げ合いシーンでは、固定でいいのに、迷い離れまた近付くのを横フォロー移動で丁寧に追ってる。友人の立場を尊重しての真意表出さず·自分の抑えきれない気持ち·仕事や環境として今住む場を離れない意気、が世界的に見ても、その逐次フラフラする在り方や·そこの譲れない強靭な思いの存在ら、描き方やキャラの表出が傑出している。メイン女性2人が、駄々っ子と見えもしたりする、本物の強さを体現してる。ちと凄い、アップ表情都度や全身仕草や感情爆発持続姿。1人はワンクッション経て本音に戻り、1人は伝わらないと無意識泣きわめく、も女の側がイニシアチブの取り方が印象的で見事。やがて、次々車到着の重ねその他に力強い移動カットもウェイト増してくる。
華麗な技術というより、精巧よりも一体の力の集中をまず機を逃さずで、ミニチュアの建設動作模型や追っかけでコマ撮り·コマ落とし、動くミニチュアを囲む人らや喧騒の踊り集中での合成、窓外の荒々しい風景のSプロセス、大粒画面前面雨降らし、白熊着ぐるみや仮面着用(義務)の積極使用、解体爆破や完成予想街並みや勝手にビル仰天移動の·ニューズリール·ミニチュア·合成·(誤逆転)映写らの淀みない大胆次々使用。歌や台詞に·無条件首都賛美·国家政策心酔(付き添い監視婆さんがモスクワに残る)と、意地と活力としての地方居残りと開拓建設生き甲斐の骨ある両立·バランス力。俯瞰めその他の駅ホームら絡みの列車の図の美と力も素晴らしい。手紙のやり取りの無視や読み込み方らも活きてる。本来カップルから気紛れ的に構成が移る流れも真の自然な有り様が、暗くなく息ずいてる。
以前観た記憶も交えると、未開の蚊も多い地方の開発建設技師らが、モスクワ博覧会に可動建設プラン模型を出して、アピール狙いで代表の1人を監視役祖母と送る。列車で、モスクワへ帰る途中という知り合った女とは、おずおずと気まずさあっても正直に近しさ進み、友となり仕事協力もする仲も·彼女と婚約決めの画家を差し置く事となり、建築家が途中下車で知り合った·子ブタがよく消えアタフタの·卒業試験中の農学女子大生が、いつしか画家と親しくなる。徹夜続き組み立て·投影大銀幕披露の、展覧会は大成功、どちらで暮らすか、2人はまた揉め事に入るが、恋情が乗りこえてく。展覧会出店の成功で地方も住みやすく、開発され。
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『十三人』。ロンムも2本は観たかったが1本に留まる。確かにフォードのトーキーに入っての、最初の大反響作の、半ば以上リメイクで、砂漠·砂丘のロケの神秘性·目隠し砂風の力、セットの清潔簡潔力の通底する映像の透明な力と、砂漠で自然と敵に囲まれて1人ずつ自壊して減ってく恐さは、共通するも、フォードの狂気の絡む人の温もりへの狂おしさに比べ、俯瞰(め)図や端の端への人馬置き方 らの個々の造型·無駄のない簡潔で他しかなアクションとリアクションらは、それなりに見事で寂寥感や無常感は増すも、人間臭い狂気のうねり·絡まりと造型の飛躍大胆さには至らない。
ま、あっさりめとはいえ、休暇への駅路中の13人の小隊、沙漠に敵イスラム軍の本来勤務の殲滅目的の大物群の水源地発見、司令官の役復活と同行地質学者もいつしか同調、やがて囲みくる敵の妥協案にも応じず、大援軍を呼びに行かせる間、ひたすら撃ち続ける。司令官も、その妻も、意識高ぶりの中、命をおとしてゆき、無常感も増し、副司令官だけとなる。と結構大人の冷めて整理味。先を見据え、クール孤独引受けのロンム·タッチ。
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