KnightsofOdessa

パン屋の女房のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

パン屋の女房(1938年製作の映画)
2.0
No.122[パンが食べたいから一致団結する村人たち] 40点

フランスでどれだけパンが愛されているか非常によく分かる作品。いかにもおフランスっぽいほっこり人情喜劇。オーソン・ウェルズが同時代最高の俳優と賞したレイミュが主演として若干演技過剰ながら"妻に振り回される夫"を演じている。ミシェル・シモンみたいな顔してるなぁと思ったら演技のクセはシモンに似ていた。

前のパン屋が首を吊って死んで以来初めてのパン屋が田舎にやって来る。店主はエマーブルというおっさんだが彼には若い妻オーレリーが居てエマーブルはオーレリーにデレデレである。オーレリーが落ちぶれた侯爵にパンを届ける青年に一目惚れして駆け落ちするとエマーブルは落ち込んでパンを焼かなくなってしまう。村人たちは貴賤別け隔てなくパン不足にあえぎ始め、喧嘩ばかりしていた彼ら(印象的なのはジャンヌ・ダルクについて喧嘩していた神父と教師)は一致団結し全力でオーレリーを捜索する。やがて発見されたオーレリーは神父の説教と共にお咎め無しで帰される。エマーブルは表面上は彼女を優しく受け入れるが、オーレリーと同じ時期に逃げ出したメス猫が帰ってきたのを見つけるとそれに対して"寒いから帰ってきたのか?このふしだら猫め"とブチギレるのだ。勿論猫に言ってるのだが衝撃的なラスト。このラストで何点か上昇してしまった。

パニョルはフランスの国民的作家として「プロヴァンス物語」シリーズの原作を書いていたが、映画監督もやっていたとは知らなかった。レイミュはパニョル映画の常連らしく、彼の演技七変化をおおらかに楽しむ作品であることが窺える。ちなみに、レイミュは劇中変な帽子をずっと被っているんだけど、あのどんぐりの冠みたいなやつなんて名前だろう。

映画の感想は"やれやれだぜ"って感じ。好みの反対にあるからよほど強い力がないと好きにはなれないよ。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa