LC

クルードさんちのあたらしい冒険のLCのレビュー・感想・評価

4.0
何これ楽しい!

前作では、住処を出て、道具を覚え、世界の広がりをまざまざと見せつけてきた。
本作では、更に豊かな世界の中で豊かに暮らす人々と出会う。しかし、その豊かさの中で失うものがあるとしたら、それは目に見えるものだろうか。目に見えないものがあるとして、それを理解できるだろうか。  

主人公サイドはみんな、ある意味その日暮らしをして生きてきたわけで、たわわに実る恵みに対してそりゃあ…あんな顔にもなりますわな…無我夢中で腹を満たしておる…無我夢中が過ぎて声出して笑ってしまう。前作で飯は常に足りねえってぼやいてたもんな。

たわわに実る恵みの正体は、人が水を引いて管理し作り上げた農場だった。しかも各々が個室で眠れる規模の家付き。もちろん各部屋に窓完備。洞穴暮らしとは大変な違いの中に置かれる。
ご飯はお皿に盛ってスプーンとフォークで。シャワーを浴びて髪は結い、綺麗な服を身につける。
父親は「家族なのにバラバラで眠るのか、離れるのか」と問いかけ、確かに家族は一緒にいるもの!と納得はしつつ、プライバシーは確保する。
この極端ではない、なるべく現実的な落とし所が良い感じ。
その落とし所に落ち着くまでが、物凄く不穏だし、ギクシャクだし、なかなかに気まずい。
だからこそ、救いの英雄が現れ、大暴れするところでスカッと爽快に笑える。暴れまくった後は、落ち着く。

パンチランゲージは興味深い。威力の強弱で意味が変わったりもあるだろうか。あの言葉で昔話とか聞くの嫌だなあ。シンデレラとか。
そして蜂は怖い。本当に大丈夫だったのか?1回目より2回目がヤバいとか聞くじゃん、あれ2回目なのでは…?手が全体的にすんごい色になってたよ…本人たちが楽しそうなのはとても良いね…

窓は、みんな大好き。
今やみんな自分の窓を持って外出する。
豊かさを手に入れた彼らの姿に、現代を生きる自分たちを重ねることができる。
ふかふかのベッドで眠れる幸せ。
何か不足しているものがあるのかって?バナナだよな。私は苦手で普段から全く食べないけど、そうじゃなくて。果物も、なんなら野菜も高いよなあ…そりゃあ不足もするってもんで…
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