じゅんじゅん

オペレーション・フィナーレのじゅんじゅんのレビュー・感想・評価

4.0
イスラエルの諜報機関モサドが、ユダヤ人虐殺で指導的役割を果たしアルゼンチンに逃亡していたアドルフ•アイヒマンを拉致して連れ出す映画。実話に基づいているため派手さは無いが、脱出劇はハラハラして面白かった。

拘束したアイヒマンと監視係の主人公ピーターとの会話場面に多くを割いており、この映画の肝かもしれない。
誰よりもナチを憎むピーターは懐柔するため敢えて親身に接しているうち、アイヒマンの操作性によりリマ症候群のように情が湧いていく。家族含め同胞6百万を殺した大悪党が、どこにでもいるような親しみある平凡な男だったら、誰でも戸惑うだろう。

どんな凡人でもシステムに組み込まれれば残酷さを発揮してしまうミルグラム効果は、まさにアイヒマン実験で明らかになった。この凡人を死刑にすれば復讐を果たして終了と言えるのか…裁判のシーンではそんな複雑な心境で晴れない表情のピーターも印象的だった。