『インシディアス』を始めとして数々のホラーを手がけてきたリー・ワネル監督が、SFアクションに挑んだ一作。
100年後の未来は想像がつきにくいものだが、本作では50年後の近未来が様々なガジェットによって魅力的に生み出されている。クールなデザインの全自動車両・ドローンによる監視体制の強化・人工知能の発達など、ちょっと先に「ありそうな未来」に胸が躍る。
究極人工知能であるステムとグレイの歪な関係性も面白い。グレイはステムに命令を下すが、こいつがまあ主人の言うことを聞かないのだ。グレイの身を守るためだと言いつつ、「殺りたい放題」なステムにはついつい笑ってしまう。
世界観はクールで近未来的なのに、アクションシーンになると途端にB級っぽくなるアンバランスさも魅力だ。サイコガンみたいな銃器やサイボーグ同士の全然カッコよくない戦闘シーン、そして過剰な人体破壊。これぞリー・ワネル！とファンは諸手を挙げて喜ぶ出来映えになっている。
正直ストーリーは非常に凡庸で、真相を知っても驚くことはないし、幾つもの過去作にオマージュを捧げた内容とも言える。だが、本作はそんな楽しみ方をすべき映画ではない。適度に刺激と興奮を得られる娯楽作として、これ以上を望むのは酷と言うものだろう。
⚫︎トマトメーター
・批評家支持率：88％
・観客支持率 ：88％
「拡張された主人公さながら、本作の昔ながらの内容はハイテク技術によって強化され、鋭いユーモアとしっかりとしたストーリーのおかげで更に力強いものになっている。」
