ダイナ

希望の灯りのダイナのレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
4.4
ドイツのスーパーマーケットを舞台とした、無口な新入り店員の青年が職場の同僚たちに支えられながら徐々に打ち解けていく様子を描いたヒューマンドラマ映画。淡々とした日常は人によっては眠気を誘われそうな内容ながら個人的には凄い良かったです。ここで働きてぇ〜。

灯りを感じるには暗さが必要なわけで、どこか退廃的、閑散かつ淡白な作中の雰囲気に悲壮感が影を落とすヒューマンドラマ。だからこそ、優しさとか思いやりが描かれた時にとても温かく感じるわけです。先輩からノウハウ教わったり棚越しアイコンタクトにおけるお仕事中のコミュニケーションによる緩和効果とかクソデカ蝋燭の器用なのか不器用なのかの真面目さとかささやかな描写とか色々な人間模様にほっこりして心地良いです。映像面に関してイチオシなのは「計算を感じる構図」で、適当な所で停止かけても様になるような美しさ。街並み、倉庫内、物の景色との比率とか美術的専門的知識は皆無な自分ですが本作の余白の占有率は惚れ惚れします。何はともあれ小売バイト経験ある自分としてはお仕事描写、客には見えない時間外のスタッフの一コマ描写に全世界共通の普遍的な描写が沁みましたし、主人公の成長過程や人間関係の変化具合の見応えさ、脆く儚く哀しさが常に付き纏う人生というものに指す灯りの存在を示してくれる本作は観客を支えてくれる強度があるし、優しさで溢れていてああ素晴らしい!
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