藻尾井逞育

君のためのタイムリープ/私を月に連れてっての藻尾井逞育のレビュー・感想・評価

4.0
「君は誰よりも才能がある。僕はそう信じている。でも、世界が気づくとは限らない。失敗や心の闇に飲み込まれて、寂しさに負けるかもしれない。でも、僕にとって君は永遠に輝く星だ。星は燃えて光り輝く運命なんだよ」
「夢を追い続けさえすれば君は完全だ」
「不完全でも君は愛される」

高校時代にバンド"月球組"を結成していた5人の同級生は、自ら命を絶ったヴォーカル、エンペイの葬儀で再会した。その帰り道、謎めいた花売りの老婆に渡された玉蘭の不思議な力により、ジョンシャンは1997年、高校卒業の3日前、エンペイの運命を決めたあの日にタイムスリップすることに。

1997年11月12日自動車事故がきっかけでこの世を去った台湾の伝説のミュージシャン、プロデューサーの張雨生(チャンユーシェン)。彼へのオマージュからこの映画は出来上がっているようです。彼の1992年のアルバム"帯我去月球"のタイトル曲が映画でもカバーして歌われ、映画の原題にもなっています。日本でも2018年の大阪アジアン映画祭では、日本語題名"私を月に連れてって"でしたが、なんで題名変えちゃったんだろう?ジャズの名スタンダード、"Fly Me to the Moon"のイメージがあまりにも強すぎるからかな?
映画は、相手に自分の思いや気持ちがなかなか伝わらず、良かれと思ってしたことがかえって空回りしてしまう、誰もが経験した(であろう)青春時代のちょっと歯痒い思い出が悲しいくらい伝わってきます。台湾映画は本当に青春回顧の秀作が多いですね。

2024/04/03
台湾加油!