TAK44マグナム

父の日/ファザーズ・デイのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

父の日/ファザーズ・デイ(2016年製作の映画)
4.0
a father's day


ゾンビにも愛があるのか?
そもそも感情があるのか無いのか、それは描かれ方ひとつで決まります。
この短編に登場するゾンビの親子には、確実にお互いを愛する感情があるのです。


荒廃したゾンビ・パンデミック後の世界で再会をはたした父と娘。
既に人ではなくなってはいたが、「肉」にありつけないで右往左往している娘を、父親は助けようとする。
2人のゾンビは公園で人間だった頃のように遊び、テイクアウトした人間の手首を仲良く分け合います。


短い時間の中で、ゾンビが蔓延したのであろう世界を簡潔に、そして的確に描写しています。
通りがかりのおばさんゾンビは生首を持ち歩き、娘ゾンビはクマのヌイグルミを拾います。

やがて、親子ゾンビをライフルのスコープが捉えるわけですが、そこからのラストに心が震わされました。
ゾンビにも人と同じ感情があるのだとすれば、人は一体どうすれば良いのか。
ただ排除するのなら、それならば人はゾンビと何が違うというのか。
生きる者と死せる者の対峙が何を意味するのか。
我々は何を失い、何を得るのか。

ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」への、これはひとつのアンサーだと思いました。


YouTubeにて