TAK44マグナム

グレイマンのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

グレイマン(2022年製作の映画)
4.4
暗殺者の必殺技は少女へ贈るウインク


アベンジャーズにいてもおかしくないぐらい強いライアン・ゴズリングがアベンジャーズを抜けたら拷問大好きなキ○ガイになったクリス・エヴァンスに狙われるアクション大作。
CIA所属の暗殺者シエラ・シックスはバンコクの任務である男を殺害するが、その男は自分と同じ過去を持つ者だった。
男から重要機密を託されたシックス。
そんな彼を離反者としてCIA局員たちが襲う。
かつての上司に助けを求めるシックスであったが・・

所謂スパイものではありますが「ジェイソン・ボーン」シリーズと同種であり、諜報活動よりも超人工作員による戦闘や破壊に主眼をおいており、その点では2億ドルも製作費をかけていることもあって見せ場も多々あって成功しているといって良いでしょう。
やはり監督のルッソ兄弟は畳み掛けるバトルアクションでは群を抜いた冴えがあります。
ただ今回はプラハでの暗殺チームとの戦いがあまりにも作品の中で派手で突出し過ぎている為にクライマックスは少し尻すぼみ感が感じられてしまいました。
敵となる暗殺チームも世界各所から集められたと映像でも説明が入るのにかかわらず、たんなるやられ役でしかなく残念。
もっと多彩なキャラクターを持った奴らが襲ってきても面白かった気がします。
そんな中、シックスと互角に戦うアヴィクという暗殺者は独自の信条を持つタミル人で、味があるキャラクターでした(演じているダヌーシュは何とインドのスーパースターであるラジニカーントの義理の息子さん)。

また、グレイマンの異名は「どこにでも誰にでもまぎれる存在」からきていますが、本作のシックスはそういった能力は殆ど見せてくれません。
原作からかなり多くの改変があって従来のファンからは不満も多い映画化と聞いていましたが、どうやらこの点も評価を悪くしている一因みたいです。
これならジェイソン・ボーンの方がよほどグレイマンらしい行動をみせていましたし、シックスは登場シーンからして赤いスーツを着ているので「どこがグレイマンなんだよ!レッドマンだろ!」と思わずつっこんでしまいました。
冒頭の舞台が色とりどりのパーティ会場だからその方が怪しまれないのは分かりますけれど多分お遊びでわざとシャレたのだろうと推察。
(ルッソ兄弟はMCUにも参加しているからかクリス・エヴァンスにヒーローをディスる台詞を言わせたり、本作にはそういうお遊びも散見されます)

しかしながら高度な戦闘能力は存分に発揮してくれるシックス。
さすが無敵の主人公、割とインフレ気味な戦闘能力はゴルゴ13並みです。
危機また危機を冷静な判断力と素早い行動力でクールに脱してゆくのを見るのは痛快だし、その強さの見せ方も壁や窓ガラスを利用したりと外連味があり、非常にマンガチックながら巧い。
加えてシックスという人物造形に貢献する洒落た台詞の応酬も良いですね。
娯楽アクションとして観るぶんには充分すぎる出来栄えでしょう。
それ以上の何かを求めるなら足りてない要素はいくつもあるような気がするものの、バリバリと人が死んでゆくフィクションに浸りたい時にはもってこいな作品といえます。
加えて、いくらなんでも戦闘能力が高すぎるアナ・デ・アルマスや頭のネジが外れたクリス・エヴァンス、そしてビジュアル含めて順調に次世代のスターとして成長しているジュリア・バターズ(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の子役少女!)らが一堂に介して見られるのも豪華絢爛な良作。

(大きなスクリーンと爆音響推奨ですが)映画館で観るのも自宅のNetflixで観るのも良し、特にアクション映画ファンにオススメです。

Netflixにて