EDDIE

バイスのEDDIEのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
4.0
俳優陣の変身ぶり、演出の仕方に脱帽。2000年代ジョージ・W・ブッシュ政権時代に暗躍した副大統領物語!

当時を思い起こすと確かにブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官は、ニュースでもよく目にしていましたが、ディック・チェイニー副大統領は記憶にありません。
時代背景やニュースにある程度の知識がある方ならば、より一層楽しめると思います。
私は当時政治はもとより、アメリカの政治は全くと言っていいほど興味なかったので、知識はほとんど持ち合わせておりません。9.11の影響で、飛行機は危ないからと修学旅行の行き先が変わったことはよく覚えています(笑)

さて、本作で注目したいのは出演陣の完成度の高さですよね。上映前に主要メンバーのディック&リン・チェイニー夫妻、ジョージ・W・ブッシュ、ドナルド・ラムズフェルド、コリン・パウエルの顔をそれぞれ把握して観るだけでも楽しみ具合が全然変わると思います。
クリスチャン・ベール演じるディック・チェイニーはもはや誰が演じているのかわからないぐらい別人!つまり本人そっくり。体型面も含め、役作りにかける本気度が並大抵ではありません。
若かりし頃から副大統領時代までを描いているので、その体型の変化を見るのも一つの楽しみ方です。
サム・ロックウェルのブッシュ大統領もクリソツでしたね。チェイニーを副大統領として口説く場面の交渉と心理状況の描き方が凄く面白かったのですが、ディックの企みに引っかかったかのように風刺した静止画の場面は笑いました。
とにかく当時のアメリカの大統領権限をすべて網羅し、支配したディック・チェイニー副大統領。その暗躍の模様やそんな企みが裏で行われていたんだという発見を知るにいい映画です。
ラムズフェルドを演じるスティーブ・カレルの存在感も素晴らしかったですね。

個人的にドキドキした場面が副大統領になる直前の時代。演出の仕方に笑ってしまったんですが、あそこで勘違いしたお客さんが席を立って帰ってしまわないかと心配してしまいました。

それにしても人生何が起こるかわからないとはこのこと。酒浸りの人生で彼女のおかげで入学できたイェール大学も退学になる程ダメ人間の象徴的存在だったディック・チェイニー。しかし彼女であり、将来の奥さんであるリンの支えあってとも言えますが、民間企業のCEOになり、副大統領にまで昇り詰め、さらに大統領以上の権力を持ってしまう。凄まじい激動の人生です。
しかし、言葉少ななディックも常に冷静に物事を見つめ、戦略を組み立てていたのでしょう。彼の人心掌握術は凄まじいものがありますね。
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