emily

森の奥深くでのemilyのレビュー・感想・評価

森の奥深くで(2016年製作の映画)
3.6
離婚した父親とヴァカンスを過ごすため兄と弟はスウェーデンへ。父と一緒に森の奥のコテージで過ごすことになる。全く眠らない父親と、不思議な力があるという弟。兄にはきつくあたり、兄は父親に不信感を抱きはじめる・・

 弟の目線で描かれており、常に不穏な空気、それを煽る音楽、森の中の暗い色彩、父親の誘導、すべての要素が少年に覆いかぶさり、暗闇で”恐怖”と対面することになる。時折悪ふざけの兄の冗談も交えながら、終始緊張感を絶やさない。見えない物への恐怖、子供の中に潜む恐怖、現実と幻覚の狭間で観客の恐怖心をもコントロールしていく。誰もが見えない物は怖い。暗闇は怖い。誰しもにある恐怖を操り、しかし暗闇の中でも美しい物もある。目の前に広がる蛍。暗闇だからこそそれは美しい。父親の恐怖、孤独の恐怖、誰もがもつそれと交差させながら、しっかり不穏な空気をラストまで引っ張っていく。恐怖を作るのは自分自身の心である。
emily

emily