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許された子どもたちのemilyのレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
4.0

とある地方土地の中学生。グループのリーダー格のキラは同級生のitsukiをいじめの末に殺害してしまう。犯行を一度は自供したが、無罪を信じる母親に説得され否認してしまい...

ドラマは加害者側の視点に重点を置き進んでいく。なぜそのような結果になったのか、無罪で放任されたことで受ける数々のバッシング。両親の苦悩、加害者の苦悩。当然それぞれに多くの苦労があり、それでも崩れることはない親子の絆の深さを垣間見る。

学校ではいじめっ子のキラも実は過去にはいじめられっ子で、必死で気を張っているが、自宅に戻れば母親思いの良い少年だったりする。

加害者を無残にバッシングするSNSの声。徐々に誰が加害者で被害者なのかわからなくなってくる。加害者側は無罪になったからといってそこで終わりではない。たとえ少年法に守られていても、その十字架は一生背負っていかなければならないのだ。少年が背負えない分は結局親が背負うしかない。

SNSの声を随時交えながら、爆音の音楽とともにSNSの声を切り取っていく。何気ない声が誰かの耳に届き、誰かを傷つけ、内側からむしばんでいくこと。真向からナイフを突き刺さなくても、心からずたずたにされていくのも立派な罪だ。

大人の言いなりになり、大人に丸め込まれる子供たちもまた大人の犠牲者であり、それが少年法で守られるということだろう。しかしその内側は開けてみないとわからない。逆を言えば守られているからこそ、また苦しむのかもしれない。

いろんな心情がうずめき、様々な見方ができる。13歳は子供だが、そうさせているのは大人なのかもしれない。

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