トーマスはドイツ・ベルリンでケーキ屋を営む職人。
人種の壁など関係なく愛してくれたオーレンには妻と子供が居ます。
オーレンは出張の帰りに トーマスのお店で 妻アナトへのクッキーをお土産にしていた。
愛人であるトーマスは 急に恋人と連絡が取れなくなってしまう。
愛人である彼の切なさが 実によく描かれている。
そして オーレンの住まいがあるイスラエルへと赴きます。
彼が何故消えてしまったか？という確認する為と
おそらく 妻への興味から。
そして 妻が営むカフェでトーマスは働くようになる。
ドイツ人である事による シャットアウトされる描写もありながら
オーレンの妻と子供と母親との交流が始まります。
そして トーマスとオーレンとの関係を知る事になる妻と母親。
全ての者が確信を口には出さないので
この辺りは 視聴者が登場人物の気持ちを読み取る物語。
この作品の 得も言われぬ空気感が醍醐味。
妻にとっては きっと許せないトーマスであるけれど
確かな職人の技術と誠実に働くトーマスの姿から
彼の実直な人物像を察して 受け入れる妻。
大人の···まさしく大人の物語だと思います。
お互いが大切な人を亡くした寂しさが紡いだ仲であっても
それでもいいじゃないですか。
恋人との関係がうまくいっていない時···
アンニュイな気分に浸りたい時に
静かに鑑賞すると より響いてくるかもしれない。
切なく
余韻が残る終わり方です。
トーマスが天涯孤独である事と
同性愛者である彼が家族を持つ事ができない現状をオーレンが口にした言葉があり
彼の優しさが 後にじわりと胸に届いてきます。
また 彼が選んだ妻であるから 彼女は受け入れる事が出来たのかな···とも。
2人はまた繋がるのではないのかな···とわたしは思います。
