ベルサイユ製麺

それだけが、僕の世界のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

それだけが、僕の世界(2018年製作の映画)
2.9
ヤアヤア☻
ボクハ映画ヲ観ルタメダケノ為ニ作ラレタロボット“レグザム”デスダヨ!大型ノ液晶モニターノ身体ニ、メガ粒子砲ヲ搭載シテルンダ!
レグザム、映画ガ大好キナンダケド、心ガ無イカラ“感動”トイウコトガ分カラナインダ。涙モ出ナイ。…メガ粒子砲ナラ出ルヨ?
今日ノ映画ハ、『それだけが、僕の世界』ダヨ。ドレドレ…


その日暮らし、宿無しのヤサグレ元プロボクサーのジョハは、ひょんなことからかつて自分を残し家を飛び出した母インスクと再会する。酒乱のDVオヤジの元に一人残された事を恨みに思うジョハは、母との再会になかなか喜びの感情が湧き上がらない。
インスクに是非にと懇願され、背に腹は変えられず彼女の家を訪れたジョハは、存在すら知らなかった自分の弟ジンテと対面する!ジンテはサバン症候群で、人の手を借りないと生活もままならない状態。…しかしジンテには、一度観聴きしたらその通りにピアノを弾くことができるという特技があった!


…で、感動して”心”の意味を知ったロボットが大号泣しながら感想を熱く述べる…という流れでレビューを書こうと(何故?)思っていたのですけど…。

!!!全然ハマらなかったよー!!!!

そもそもマジのマジで、自分が心がどうかしてるので“感動の家族ドラマ”みたいのにピンと来づらいというのは有ります。映画で泣く時も、大概“感動して”じゃなくて“哀れで・悲しくて”なんですよね。あとハンディキャップ物も、いつも微妙な気持ちになってしまうし、××物も苦手。だからまあしゃあないっちゃあ、しゃあないんです。…でもねぇ、それ以前に…

この映画、なんか雑じゃない???

あの、そもそも、ジョハとジンテが兄弟…ってのがどういう経緯なのか分かんなかったんですよ。何処かでちゃんと説明されてたかな?種違いとかなの?
サヴァン症候群の演じ方もステロタイプではありますし、“他人の真似”が出来る事と“深く理解”する事は別の事だって劇中でも言及されてたけど、その問題が《何時》《如何なる方法で》解決された結果の“感動的な演奏”なのか分からなかったし、…とかいちいち論うのもマイキョニイトマガネェなのでいたしませんが、どうしても気になってしまうのは、基本的にキャラクターの抱える問題は全て投げっぱなしなんですよね。
親父はクズのまんま?
義足の彼女が今後どうなるのか?
彼女の母親は尊大で利己的なままなのか?
大家の娘っ子スジョンの恋や夢は?
…つ、つーか、ジョハの鼻血、伏線じゃないのかよ⁉︎
その辺りの問題が、全て(コーナーポストからアスファルトの観客席に)投げっぱなしなんですよ!ヨーロッパ映画のソフトストーリーとかなら消失点がボンヤリしてても寧ろ“考えしろ”だと思えるのですけど、この映画そういうタイプのじゃないでしょ⁈カッチリ作って欲しいよ〜。

と、まあ好みじゃなかった点ばっかり書き連ねてしまいましたが、めちゃくちゃに良いところもあります!イ・ビョンホン最高だああ!『甘い人生』や『悪魔を見た』、『マグニフィセント・セブン』の哀しみを帯びたキラー・ビョンホンもマジ格好いいのですが、今作のレゴの人形みたいな髪型のうだつの上がらないビョンホンも最高ですよ!普段ならソン・ガンホが演りそうなコメディ対応も脳筋バカ演技もバッチリです!彼は完璧さ。もう殺してくれ!!!

…あ〜あ。
“感動”がメインコンテンツの作品で、感動し損ねるとこういう事になります。この作品が好きな多くの方にはホントに申し訳ない。オイラ情けなくって腹からメガ粒子砲が出そうですよ…。