KentaNarafu

二重性活 女子大生の秘密レポートのKentaNarafuのレビュー・感想・評価

4.3
2016年のドイツの映画。数学を学ぶことを志してベルリンの大学に来た女性が、勉学への情熱も持ちながらも徐々に性や友人関係といった快楽とのバランスが取れなくなっていき、どんどんと深みにはまって抜け出せなくなっていく様子が描かれる。
内容に入る前に、何よりもまず邦題が酷い。原題は「Fucking Berlin」なのだが、邦題は「二重性活 女子大生の秘密レポート」。これだと単なる卑猥なポルノ映画のような響きがしてしまい(そういうシーンは確かにふんだんに出てくるのだが)、この作品の魅力を半減させてしまう。性的描写は確かに少なくないものの、ここに描かれるのは、若者ゆえの冒険心(好奇心)とその不安定さであったように思う。この「若さゆえの自由奔放さと、そのどうしようもない不安定さと、それにうすうす気づいていながら飲み込まれていくことに抗えない自分自身」みたいな構図は、もう昨年不惑を迎えた自分には感じられないことだ。何でもできそうな気がする。でも実は、何にもできていない。快楽を得ることで、もっと大きな何かを失う。それに虚無感や絶望を感じる年代。この映画は、そうしたカオスをとてもよく表していたと思う。個人的には名作の部類に入ると思うが、賛否両論あるだろうな、きっと。
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