KentaNarafu

きみに読む物語のKentaNarafuのネタバレレビュー・内容・結末

きみに読む物語(2004年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

認知症を患って施設に入る妻と、その妻に寄り添う夫の物語。2人がいかにして今に至ったのか、その過去のストーリーがメイン。

端的に言って、良かった。最後以外は。
夫は本当に大きな愛で妻を包み込んできたし、それは妻が認知症になっても同じだった。治ってほしいという希望はもちろんあったんだろうし、自分のことすらわからなくなって取り乱す様子を見て悲しいだろうと思う。でも、時折記憶がつながってスムーズに会話ができるときのあの夫の嬉しそうな様子と妻の落ち着き。ああ、良い二人だなあと泣けてくる。そんな様子の演技もとても良くて、キャストも演技も本当に一級だと思う。

認知症でいろんなことがわからなくなってしまっても、大きな愛で包まれることでその人は幸せに暮らしていけるのではないか。薬で認知症をどうにかしようという動きが現代は喧しいけど、たとえ認知症が進行してしまったって、周囲の人たちの関係の中で、認知症の状態は変化しうる。そんな関係の重要性を指摘されたような一作だった。

で、ここまではいいとして。
個人的には最後の最後に2人が手をつないで・・・のシーンが、これまでの面白さを思いっきりぶち壊したと思っている(そうじゃない意見の人のほうが多いことはわかっているけど)。直前まで割とリアリティを持って、自分だったらどうだろう等と惹き付けて考えていたのに、あのシーンで「んなことあるかーい!」となってしまい、一気にそれまでの興奮が冷めてしまった。あのシーンに感動したという人が多いのは承知の上で、あくまで個人的には、あのシーンはかなり減点だった。
難しいなあ、映画の評価は。
KentaNarafu

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