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折れた槍のkojikojiのレビュー・感想・評価

折れた槍(1954年製作の映画)
3.7
No.1548
2023.12.23視聴 西部劇100

 西部劇の中では良く耳にする名作の一本。  
 ※(よく耳にするのは「折れた矢」の方かもしれない。どちらもアカデミー賞は取ってはいるものの。kuronoriさんのコメントで気づきました。)

主人公は知らない役者と思っていたら、なんと若き日のロバート・ワグナーだ。テレビドラマ「スパイのライセンス」の主人公、ナタリーウッドの旦那さんと言えばわかるだろう。あのロバート・ワグナーだ。 

 1880年代。アメリカ南西部の大農場主マット・デヴェロオ(スペンサー・トレイシー)には、先妻との間に生まれたベン(リチャード・ウィドマーク)、マイク、デニーの3人の息子と、インディアンの娘だった今の妻(カティ・フラドー)との子ジョー(ロバート・ワグナー)の家族がいた。
 マットは先妻の3人の息子には厳しく、今の妻ジョーには優しく接していたため、先妻の子3人はジョーに対して快く思っていなかった。
 ある日川上の銅精錬所から流れ出る鉱毒による事件が起き、ジョーは父のために投獄されることになり、家族の中の不満が爆発することとなる。

 頑固親父にも程がある。この父親マットの頑固ぶりがこのドラマの悲劇を生んだ。成り上がるための苦労が、家庭をみない、わがまま頑固親父を作り出したと、いかにも昔のドラマにありそうなストーリーだ。しかしこの親父はそれにさらに輪をかけたような存在だ。
 これを、あの頑固親父を演じさせたら右に出る者はいない「花嫁の父」のスペンサー・トレイシーが演じる。絶好調だ。

 父マットの兄弟への接し方があまりに違いすぎて、長男役のリチャード・ウィドマークがひねてしまうのもわかるし、それで結果的には敵役になるのだから、何だか可哀想で仕方ない。悪役とはとても思えないのだ
 それで、このドラマの終わり方も、監督は良いと思って撮ってるつもりかも知れないが、私にはあまり爽快とは言えない結末だった。
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