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さびしんぼうのkazu1961のレビュー・感想・評価

さびしんぼう(1985年製作の映画)
3.9
▪️Title : 「さびしんぼう」
Original Title :※※※
▪️Release Date:1985/04/13
▪️Production Country: 日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2020-177 再鑑賞
▪️My Review
“故大林監督を偲んでシリーズ3”
大林監督の作品の中でも好きな作品の一つですね。思春期の「痛さ」「残酷さ」をファンタジックにそしてセンチメンタルに描いた名作です。
いわゆる『転校生』『時をかける少女』に続く“尾道三部作”。そしてこの3本は、大林監督の膨大なフィルモグラフィーの中でも間違いなく、落ち着きと詩情が高く、最も脂が乗ってる時期に生まれ、その類い稀なる感性と才能が結実した3作品じゃないかと私は思います。
本作は、その中でも思春期のときめきをセンチメンタルに描いていて、ロマンチシズムが3作中一番強い作品で、ショパンの“別れの歌”が印象的に使われる中、富田靖子が二人のさびしんぼうを巧みに演じきっています。
セピア調の尾道の山、海、夕陽、その大林調の世界観がより、ノスタルジックにまた、思春期の“痛さ”“切なさ”を巧く表現していると思います。大林監督は、『さびしんぼう』公開時のインタビューで「"いつか見た風景"が、テクニック上のテーマ」と話しています。
“尾道三部作”はまさにそういう作品で、特に『さびしんぼう』は片想いの切なさが痛々しいほどに描かれています。『転校生』も『時をかける少女』も最後には別れが待っていますが、『さびしんぼう』の主人公ヒロキは2人のヒロインと続けざまに別れなければいけないそんな“痛さ”。

「ひとを恋することは、とってもさびしいから、だからあたしはさびしんぼう。でも、さびしくなんかないひとより、あたし、ずっと幸せよ」。。

そしてやはり見どころは富田靖子。清楚な美少女(百合子)とボーイッシュでやんちゃな女の子(さびしんぼう)の2役を演じ分け、どちらもとびっきりキュートなキャラクターに演じ上げています。
黒澤明はこの作品を大変気に入り、自分のチーム“黒澤組”のスタッフにも観るように指示したというエピソードもあるんですよね!!

▪️Overview
尾道を舞台に、少年の淡い恋、彼の前に突然現われた少女時代の母親“さびしんぼう”と少年との交流を描いたファンタジー。山中恒原作の「なんだかへんて子」の映画化で、脚本は「天国にいちばん近い島」の剣持亘、内藤忠司、大林宣彦の共同執筆。監督は大林宣彦、撮影は同作の阪本善尚がそれぞれ担当。(参考:映画.com)

出演は、富田靖子、尾美としのり、藤田弓子、小林稔侍、岸部一徳、浦辺粂子。
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