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ソフィア・コッポラの椿姫のsarのレビュー・感想・評価

ソフィア・コッポラの椿姫(2016年製作の映画)
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恥ずかしながらオペラ初鑑賞だったが、いつか観たいと思っていたので楽しみにしていた作品。歌声の音符1つひとつに感情を乗せて表現するという方法が興味深く、感情が音という媒体を通してぶつかり合うシーンはオペラの凄みを感じた。一幕でアルフレードが、拒むヴィオレッタに愛を語るシーンはアルフレードが遠くを見ていて、彼女を見ていなかったのは何故だろうと疑問を感じた。その他のシーンもオペラのルールなのかもしれないが、彼女を見ずにずっと斜め45°を向いていたのが不思議だった。椿姫が病で明日死ぬやもというシーンでは迫力があるせいでとても元気そうに見えた。
私の見方が恐らく悪くて、彼らを演者、俳優だとみなしていたのだけど、実際には歌手だったからというだけなのかもしれない。悲劇を全面に押し出したヒロインが嫌いなのでストーリーがとにかく好みではなかったのと、オペラに疎いせいで気持ちよく眠りに誘われるシーンが多かった。業界は違えどバレエに携わる身としては、バレエもそうだが、オペラも上流階級のみに客層を絞らない工夫がこれからは模索されると思うし、伝統は守りつつ、そうなっていって欲しいと強く願う。
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