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テリー・ギリアムのドン・キホーテのkekqのレビュー・感想・評価

3.6
ついに監督の宿願を果たしたドン・キホーテ。
「ロスト・イン・ラマンチャ」を経てそれでも作り切られたことに並々ならぬ思い入れが感じられる。

異なる現実世界の住人が現実世界とコミュニケートすることによる大きな歪み。思い起こせば「フィッシャー・キング」も「未来世紀ブラジル」も「ローズ・イン・タイドランド」もそのコンセプトは一貫しており、この物語こそが原点にして究極であると推しはかれる。

1人の人間が作り出す狂った世界に一般市民が翻弄されることで生まれる笑いはこの監督の常套手段だが、けっして狂人を嘲笑っているのではなく「完全にあっち側に行ける人間」に強い尊敬と憧憬を抱いていると改めて感じさせた。

正直ドン・キホーテ的なお笑いを面白いとは思えないが、お笑い文化のギャップを差し引いても、この複雑怪奇で暴れ馬のようなイマジネーションに溢れた物語を作品として完成しきる映画力には感動させられる。

「またとっつきにくいんだろうなー」と思いつつ、なんとなく見ないといけないと思わせる不思議な監督。中身は無いのにものすごく疲れた。
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