『これが男なら英雄の証』
〈サラ・ジェニングスは病弱なアン女王陛下につきっきりであった。
そんな中、没落した元貴族・アビゲイルが宮廷を訪れる。狡猾な手口で女王に気に入られる彼女に対し、サラは警戒心を隠せない。〉
ヨルゴス・ランティモス監督作品。監督とメインキャストのエマ・ストーンはこの後「哀れなるものたち」でも再タッグ。
ストーリーとしては側近同士の地位争いで、恐らくランティモス映画で一番分かりやすい。静かなる対立が次第に表面化していく恐ろしさ。貴族チックなドロドロ愛憎劇に、汚らしく滑稽な要素も交じる。
サーチライトのファンファーレが鳩の音で奏でられているという細かな演出。貴族の華やかな世界を作り出した美術面が凄かった一方で、悪女2人のキャットファイト以外に面白さは見出しにくい面も。
権力のきらびやかさで狂い、惨めな姿を晒す女たち。
そんな都合の良い世界、あるはずがない。