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春の夢のmaverickのレビュー・感想・評価

春の夢(2016年製作の映画)
4.2
2016年の韓国映画。監督は『キムチを売る女』のチャン・リュル。出演は、『息もできない』のヤン・イクチュン、『海にかかる霧』のハン・イェリ。


淡々とした日常に趣を感じさせる作品。ろくでもない3人の男と、彼らのマドンナ的存在の女性との何気ない日々が描かれる。女が営む居酒屋に入り浸る3人。いい大人なのに、3人とも子供のようにつるんでいる。女は父親の介護に疲れ切っているが、ちやほやしてもてはやしてくれる3人の存在がそれを紛らわせている。未来の見えない毎日。それぞれに悩みも抱えている。そんな中でもそれなりに自分らしく生きている4人。何気ない毎日の中にも喜びはあると、そんな風に思わせる内容になっていた。ただ、最後まで観ると印象もがらりと変わる。そこで好みも分かれそうだ。意外とビターで、自分としても驚き。パンチの効いた作風で強烈だった。

作中でマドンナ的存在のハン・イェリがとても魅力的。一人で父親の介護をしながら居酒屋も切り盛りする。男勝りな強さがありながらも、可憐でとても可愛らしい。3人に言い寄られながらも、それに上手く対応しているのも面白かった。精神的には彼女が一番大人。でも、か弱くて守ってあげたくなる。そういう対比を上手く演技で表現していた。うだつの上がらないごろつきを演じるヤン・イクチュンの存在感も圧倒的。こういう役を演じさせたら彼はピカイチ。他の2名も良い味を出している。『野球少女』ドラマ『梨泰院クラス』のイ・ジュヨン、『甘い人生』のシン・ミナ、『ビューティー・インサイド』のユ・ヨンソクなど、脇役やチョイ役も豪華で楽しい。


ほぼモノクロなのも味があって良い。出演する役者に惹かれて鑑賞したが、作風としても非常に見応えがあった。佳作でお勧めだ。
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