すずき

リバー・オブ・グラスのすずきのレビュー・感想・評価

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)
4.4
湿地帯近くの田舎町に住むコージーは、幼い子供を持つ、平凡で退屈な主婦。
ある日、オッチョコチョイの警察官の父親が、銃を無くしてしまう。
その銃を拾ったのは隣の郡に住む、定職に就かずにフラフラしている男・リーだった。
2人は偶然出会い意気投合。
不法侵入した邸宅のプールで遊んでいる内にリーは拾った銃を見せびらかす。
それを弄っていたコージーは、突然現れた邸宅の持ち主に驚き、銃を発砲してしまう…

「ファースト・カウ」のケリー・ライカート監督のデビュー作。
何にもなれなかった女性と男性の、何処にも行けない逃避行。
全てを諦めた大人同士の、遅すぎたボーイ・ミーツ・ガール。
ザラつき、乾いた質感の映像で映し出す文学的なムードと、独特のユーモアを併せ持つ作品でした。

この作品に似ていると思った作品は「バッファロー'66」。
共通している所も多いけれど、オチは大きく異なる。
「バッファロー'66」は男性目線の作品に対して、女性目線のアンサーのような作品だった。(こちらの作品の方が発表は早いんだけど)
あと退廃的な雰囲気は「ガンモ」の映像にも、犯罪逃避行なら「テルマ&ルイーズ」、「トゥルーロマンス」といった90年代名作映画たちも彷彿させた。

「ファースト・カウ」もそうだったけど、「愛」と言える関係の他人同士なんだけど、そこにはセックスを伴わない。
その関係が女性監督らしいな、と思った。
しかし、監督は中性的な風貌でセクシャリティに色々あるのかもしれんし、監督自身の性別とは関係ない事なのかもしれん。
ケリー・ライカート監督の他作品を見る機会があれば、そこら辺の関係性にも注目して見てみようっと。