イタリア人ジャーナリストの自伝小説をマルコ・ベロッキオ監督が映画化した作品。原作は未読だけど、原作と向き合い誠実かつ丁寧に作っている印象を受けました。
母の死を受け入れられない9歳のマッシモ。心を閉ざしたまま大人になり、やっと母の死を受容し、再生するまで。ローマでの大人時代とトリノでの少年時代が交互に描かれる。
母が亡くなった喪失感を40代になるまで引きずっているなんて…真実を知るべき時期を逃した悲劇なのだと思いました。
主人公は記者で書くという行為に大きな意味があった。書くことで哀しみと向き合ったこと、そして精神科医の女性との恋愛関係というプロセスによって再生へのきっかけを掴む。
少年時代の思い出とシンクロさせたダンスシーンや母の死を想起させ再生へとつながるプールのシーン、死神の幻想が最後にマスクを取る演出など、繊細な心情の移り変わりを映像に落とし込んでいる描写が素晴らしかったです。
実話だから仕方ないけど後半の急な展開は少し残念。でも、すごく好みのテイストで長さを感じなかった。
原題の意味は「よい夢を」
ストーンズのジッパー付きレコード☆