タニジリ

スキン~あなたに触らせて~のタニジリのレビュー・感想・評価

3.7
宿命論をヤギ(悪魔)として扱う冒頭からして、被害から守るための持物が一角獣なあたりからして、プロテスタント教国には絶対に出せない迫力があり、身体障害者に愛と慈悲と憐れみを持っていたカトリック改革期のスペインの画家、リベラやムリーリョに想いを馳せながら観た。彼らを生んだ歴史を持つ国の映画だと心底納得した。身体障害とそれに関連するルッキズムが主題ながらもサブプロットでは同性愛、堕胎、自殺などカトリックのタブーを徹底的に網羅しており、兎にも角にも外れた側にいる救われるべき人たちの自由意志の話に収束する、冒頭で示された奴隷意志≒宿命論に対抗する骨太な筋で、500年前の対抗宗教改革でスペインで巻き起こった動きが現代に再現したかのようだった。一点、一番ショッキングなはずの設定が星新一の短編と被ってたので新鮮味は薄かったが、とはいえ見せ方が余りにスペインで、それだけで満足。無論感想は人それぞれだけれども、イコノロジーの扱い方を見るに現代的な読みよりも宗教的解釈の方が合うように感じたのでこの感想で…
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