タニジリ

天才スピヴェットのタニジリのレビュー・感想・評価

天才スピヴェット(2013年製作の映画)
3.1
めちゃくちゃ良い映画〜と思って観てたら最後30分でよく分からなくなってしまった😢

農耕・狩猟IQの必要な地域に学術方面の才を持って生まれてしまった、「遠い空の向こうに」的なプロットを感じさせつつ、その上で東部と西部のちょうど真ん中という立地を象徴として両親の職業や正反対の弟との魂の繋がりなど、対立しがちな頭脳ー体力という二項に精神的な繋がりを持たせて優劣から解放し、また子供が子供らしさと可愛げのなさも両方があり、善人が悪人になったり悪人が善人になったりする面からしても非常にバランス感覚のある立体的な良作だなと思って観てたんだが、最後の展開でそれまで予兆のなかった明らかに露悪的な舞台が用意されてしまい、アレ…?となった。

反権威なのはいいけど、それが知的労働階級と結びつくことで結果反知性的に見えてしまい(学術系の権威が権威主義おばさんと化したのが…そっち側に守る人いて欲しかったんだが)それまで積み上げてきた頭脳ー体力の均衡が崩れてしまったように感じる。
またメディア批判という強烈なテーマがかなり唐突で、その唐突な演出の中で今まで丁寧に積み上げたはずの「家族の喪失」というやわらかい議題をマジの勢いだけで解決してしまったのもよくわからない。
西部では役に立たなかった才能の居場所(マツ)を見つけるために大冒険をしたはずのT.Sが終着地の東部で出会ったのがクソカス権威主義人間だけで本当の意味で彼の才能を評価してくれる人間に出会えず(悲劇だろ)、最終的に「やっぱり田舎が一番」みたいな反知性的な価値観に収斂していったのが謎すぎる。
マジですごいはずの発明品も家族愛に吸収されて非常に分かりやすい「子どもの発明品」らしくなって絶句。
途中で監督が変わったとしか思えない謎作。
タニジリ

タニジリ