Cineman

ソウルメイト/七月と安生のCinemanのレビュー・感想・評価

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)
4.0
『ソウルメイト  七月と安生』
デレク・ツァン監督
2016年公開  中国、香港
鑑賞日 2023年8月3日 U-next

観終わって監督はどんな人なの?
どんな作品を撮ったの?
ということしか頭に浮かばなかった。
まさにこれが映画の面白さだと嬉しくなる作品。
これにはやられたな〜な作品です。

2人の女優のうまさと新進気鋭のデレク・ツァン監督の映画ならではの大胆な演出が心地よい切なさあふれる110分を保証します。

【Story】
中国・上海で穏やかに暮らしていたアンシェン(チョウ・ドンユイ)のもとに、ある日突然、映画会社から連絡があります。
チーユエ(マー・スーチュン)という人が書いた『チーユエとアンシェン』という連載中のネット小説を映画化したい。
アンシェンのモデルは貴女ですよね。作者のチーユエに連絡をとってもらいたいのですがと頼まれる。
アンシェンは「モデルは私じゃないです。“チーユエ”なんて知りません」と答えました。
しかし「チーユエ」という懐かしい名前にアンシェンの心はざわめきます。
普段はネット小説を読まないアンシェンは帰宅してから早速その小説を読み始めました。

チーユエとアンシェンが初めて出会ったのは13歳の時。
学校での退屈な軍事訓練を抜け出した2人は全く正反対の互いの性格に惹かれ、やがて親友となっていきます。
仲が良い両親と円満な家庭で暮らしていたチーユエは保守的で安定志向のいい子です。
一方アンシェンは規則など気にしない、大胆で自由奔放ないたずら好きなオテンバ娘。アンシェンの家は複雑で父親はおらず、母親は仕事で家を空けがちです。

母親とうまくいってなかったアンシェンはいつもチーユエの家で家族と一緒にご飯を食べさせてもらい、チーユエの両親もアンシェンに優しく接してくれました。
13歳から15歳まで2人はいつも一緒でした。
性格が正反対な2人は陰と陽。チーユエがアンシェンの影になったり、アンシェンがチーユエの影になったりしました。
「相手の影を踏めれば、一生、離れない」と言われていましたがアンシェンは「一生は長すぎる。27歳で死にたい」と言いました。

中学卒業後チーユエは最難関の高校に入学しアンシェンは美容関係の専門学校に進学しました。
チーユエは高校でスー・ジアミンと出会い片想いに落ちます。

ここから性格が真反対の2人の女性と1人の男性との三角関係的な人生が始まります。
子供の頃にあれだけ仲良くお互いがたった1人の親友(ソウルメイト)だった2人の間に亀裂が入り憎み合い決裂してしまいます。
そして3人の人生はそれぞれ思いもかけない方向に進み始めラストに向かうに従ってアッという展開が待ち受けています。

本当に面白い映画です。
やられたな〜な映画です。
2人の女優のうまさとこの作品が長編2本目という新進気鋭のデレク・ツァン監督の映画ならではの大胆な演出が心地よい切なさあふれる110分を保証します。

【Trivia & Topics】
*原作について。
IT時代に彗星のごとく中国文壇に登場したニュー・ジェネレーションの新進気鋭作家アニー・ベイビー(女性)がネットに発表した短編小説。

*主演女優W受賞他。
1962年に設立された中国圏を代表する映画賞「金馬奨」で主役のチョウ・ドンユイとマー・スーチュンの2人が史上初の主演女優W受賞を果たした。
第36回香港電影金像奨では12部門にノミネートされ作曲賞を受賞。
2017年の第12回大阪アジアン映画祭ではコンペティション部門で上映されABC賞を受賞した。

*韓国ヴァージョンが公開されました。
なんとも嬉しいことにこの作品の韓国版リメイク作品『ソウルメイト』が3月15日に本国で公開されているはず。
主演は近い将来大きくブレイクすると確信しているお気に入りのキム・ダミなのでこのリメイクの期待指数大!

【5 star rating】
☆☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。
Cineman

Cineman