もめん豆腐

ヘルタースケルターのもめん豆腐のレビュー・感想・評価

ヘルタースケルター(2012年製作の映画)
4.3
北野Blueがあるんだから蜷川Redがあってもいいと思うンだわ(もう、ある?)。このシアンが混じった赤が非常に効果的で、前回観た『人間失格 太宰治と3人の女たち』と同じように色彩マジックにかかった。印刷用語になっちゃうけど、金赤だと雰囲気が違うんだよね。蜷川監督の色彩感覚、好きだわ。
これ、これまで全然観る気がしなかった。沢尻さんのオーバーなセリフがいつもイマイチ好きではなくて、だから避けてた。それにまだ原作マンガも読んでないし。『リバーズ・エッジ』は好きだったけど、これはちょっと美容形成が怖くて敬遠してた。それと、岡崎京子さんのマンガは出来るだけ映像化して欲しくない気持ちもどこかにある。あのタッチが好きだから実写化はちょっとね…。岡崎京子さん、良くなって欲しい。ずっと待ってるよ。CUTiEでRockも読んでたし、コラムも読んでた。
だけれど、なんとなく観たら大当たりだった。評価は低いようだけど、他人様の評価なんて全く気にしないから、この作品は誰がなんと言おうと好き。そして初めて沢尻エリカさんの実力も思い知った。この役は彼女にしか出来ないと断言する。だって他に浮かばない。この退廃さと腐敗寸前の醜さを併せ持った美を表現出来る人って彼女以外にいるのかな?映画に全力で取り組んだんだね、と、こちらにも伝わる熱意。何もかもを曝け出して、あっぱれだった。冒頭の包帯をほどいてリリコが姿を現す時、羽化したばかりの蝶と同じように美しかった。美の誕生と真逆の終わりを告げる体と心の崩れ方も見事に見せてくれた。これまでは沢尻さんの話し方が好きではなくて避けてきたんだけど、途中からそんなこと全く気にならなくなるくらい彼女はリリコだった。
原作を読んでいないから演者の配役には特に違和感を感じなかったけど、大森南朋のポエミーだけがひたすらキモくて必要ないなと強く感じたわ。あと鈴木杏ちゃんもいらなかったな。この二人が揃うと『さよなら渓谷』になっちまう。
桃井も安定の演技だし、寺島さんの右往左往も板についてたし、よ〜く見ないとわからなかった伸くんが綾野剛さんで、ちょっと笑った。この人たまに存在感消すから堪らない。あと、これまですっごく苦手だった新井浩文さんの何者にも自然に見えてしまう存在を初めて確認した!『真田丸』が大好きで放送当時週に3回観ていたんだけど、彼の加藤清正がどうしても許せなくて「ムキー٩(๑òωó๑)۶」ってなってたの(語彙力)。でも、いい役者だったんだな、と今頃知った。惜しい役者を無くしたもんだよ、自爆だなんてもったいない。
それでも、薬物、強盗、強姦などの刑事事件は復活はして欲しくないのが本音。不起訴や不倫ならいいんだけとさ。そうすると沢尻エリカさんも新井浩文さんも、別のお仕事を探してくださいと個人的には思ってる。
最後に、エンディングの曲がカッコよくて好きだったんだけど、誰の曲なんだろう。EDMかな?この歳になってもいつまでもこんな感じの曲が好きだわ〜♡
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