あさ

赤線地帯のあさのレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
4.3
物語のあらすじで気になりすぎた。吉原舞台だけどピンクシーンも露出も無くて良。尺はそこまで長くないながら、各人物の人生すべてに思いを馳せてしまう。家族のために、借金のために、居場所のために。歳を重ねても足を洗えない理由もさまざまで。稼ぎの感覚が麻痺してしまうのも痛すぎるし、なんなら現代の鏡だった。トップの若尾文子が店の子たちに利子付きで金貸してるのマジリアル。ミッキーは何で来たん?て思い続けてたけどアレはアレで闇深いし確かに殺意は湧く。

なんだか、議会で売春防止法が議論されている社会は少し新鮮で。そこで働かざるを得ない人々の暮らしにも…ということは一理あるんだが、人体売買という事の是非に野党が真っ向から切り込んでいるのも必要な意見かと思ったり。それこそ金銭感覚が麻痺する訳だし、人生が狂うことは確かで。文子が成功したのなんてほんの一握りの例だ。女性にしろ男性にしろ、生活ができるほどの仕事が別にあるべきなんだよ。そうなんだよ!(自分で納得する)
今でこそ現代社会はあまりにも売春、回春に慣れすぎてしまっていると思う。友達とこの前、市民権を得すぎと表現してたけど、言うなれば余りにもその声、実情が身近になっている感覚は強い。市民権を持つなではないけど、あまりにもスタンダードな選択肢になりすぎているんだ。困ったら身体を売ればいい、買えばいいの感覚にあまりにもズブズブになりすぎている気がする。

溝口健二様、二本目ですが女性主体の映画の撮り方が本当に…今ですら感服、今だからこそ感服。痺れり!!
あさ

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