ロックウェルアイズ

羅生門のロックウェルアイズのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.3
雨の羅生門。
杣売りと旅法師は、雨宿りにやって来た下人の男に、自分たちが見て聞いてきた恐ろしい話をし始める。
藪の中。男と女、そして盗賊。
しかし、3人の証言は少しずつ食い違っており……

お久しぶりです。
最近時間的に映画を見る余裕がないのに加えて、どうも映画欲が湧かなくて、3月に観た映画のレビューも放っておいたらあっという間に5月。
アカデミー賞では2部門も日本作品が受賞したりして、、、3、4月で立てた〈世界に誇れる日本映画〉ってテーマは一応継続で5月はもう少し映画を観れたらと思う。

ということで、初黒澤明!
「第12回ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞」、「第24回アカデミー賞 名誉賞」などを受賞した名作中の名作。
タイトルから『羅生門』が原作なのかと思っていたら、まさかの原作は『藪の中』。
『羅生門』要素を含んだ『藪の中』ってところか。
正直、モノクロで時代劇ともなると…なんてことを考えていたがとんでもない。
かなり面白かった。
鑑賞から時間が経ってしまったのでだいぶ感動は薄れてしまったけれど、飽きないどころかどんどん目が離せなくなる。
匂い、音、色合い、息遣い。全てが目の前で起きているかのように生々しく、そして色気やオーラがムンムンで艶めかしい。
役者陣の演技を超えた演技にもなんとも言えない迫力がある。
テーマはちゃんとあり、硬派な雰囲気もあるが、笑いとも取れる余裕が物語としての面白さを引き立てている。今観ても新鮮だと思える唯一無二の作品。
オチも結構好きだったし、人間の本質をここまでシンプルなやり方で突き詰められる力量にただただ感服した。