りふぃ

羅生門のりふぃのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.3
黒澤明監督の作品はこれが初視聴。
『生きる』は別監督のリメイク版を視聴したことがある。
これでやーーーっと、「映画見てます」の「え」くらいは言ってもいいかもしれない笑笑

映像としては、およそ70年以上前の作品とは思えないくらい全てが今と見劣りしない。
つまり、現在の映画界に多大に影響を与えているということなのだろうと思いながら見た。

切羽詰まった時の音楽だったり、光の明滅だったり、並行して別の人の証言を入れたり。
当時の人からしたらきっとすごい斬新だったんだろう。

京マチ子の「うっとり」表情が凄すぎて。
うっとりってこういうものだわ、絶対そうだわ……って見ながら思った。
これほど「うっとり」を完璧に表現した演技を見たことがない。

人間の醜さを扱った本作。
最後は赤子の登場で一筋の光を見せる。
確か中村文則さんが言ってたと思うが、
明るい未来を予感させる仕掛けの一つに赤子の登場があり、それを「ベビーエンド」と彼は呼んでいた。
そして、それは手垢が付きすぎてつまらないとも言っていたような気がする。
まあ、本作から70年以上経った今的には手垢が付きまくっているが、当時はそうでもなかったのかもしれない。

このラストの「7人になろうが苦労は大して変わらない」的なセリフを言って赤子を引き取る男。
多くの方々はこの男を信じるようだが、
どうにも私は信じることができない。
なぜなら、元々捕まりたくないと嘘をついていた上に、6人の子どもが一切登場しないからだ。

犬をも羨むあの世の中で6人育てているってマジか?どんな金持ちなんだ?
となったのは私が人間不信者だから?
※有心論必要。

個人的には、6人子どもはいたけど売り捌いたのが正しくて、7人目も売り捌かれるんだろうなと思った。

いずれにせよ、どっちとも取れる。
解釈の余地がある映画は良い映画だ!
りふぃ

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