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ワイルドライフのkojikojiのレビュー・感想・評価

ワイルドライフ(2018年製作の映画)
3.6
2018年 アメリカ 監督ポール・ダノ
キャスト:キャリー・マリガン、ジェイク・ギレンホール

 少年ジョー(エド・オクセンボールド)は確かに成長した。エド・オクセンボールドがオドオドしい少年から、確実に何かを掴んだ逞しい少年になっていく。

 モンタナの田舎に引越した家族。父はゴルフ場を解雇され、一人山火事を消す仕事に旅立つ。残された妻は、孤独と生活苦から次第に自分を失っていく。

 静かな出だしから、次第に厳しい状況に置かれて苦悩する家族の姿がリアルに描かれている。

 苦悩する妻キャリー・マリガンが危険な斜面を徐々に落ちていく姿がうまく描かれていて、我々は、子供の立場で「まさか!」と怯えながらそれを見るしかない。

 ジョーが母の行動を覗き見るシーンは決して全てを見せない。それが逆にジョーの心理に深く入って行くようで、衝撃の強さを感じる。この映画の山場を見事に演出している。

 ポスターを見ると、真ん中の椅子に誰も座らず、離れて夫婦が向き合っている。
 ラストシーンは、このポスターの真ん中の椅子にジョーが座る。崩壊した夫婦を繋ぎ止める逞しい少年の笑顔がそこにある。

#2022-57
 
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