Aimi

ゲット・アウトのAimiのネタバレレビュー・内容・結末

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

最後まで観て、全容を知ったあとすぐに最初から観たくなる作品。

家族や客人の何気ない言葉や行動、不気味な催し、不気味な様相すべてが後に明かされる真実と結びつき、また明白な差別意識が感じ取れるシーンや登場人物の言動などはミスリードとして扱われている。
そしてミスリードとして使われる言葉、行動、シーンそのもの、何気なくそこにある小道具、タイトル、音楽、すべてに黒人が差別されてきた歴史を明白に、または暗喩的に示しており、表面をなぞるだけで観賞すると「もっとすごいの期待してたけど、面白かったけど…そこまでかも?」となりがちだが考察を読むなどして作品の本質を知り核に触れることでこの作品の真の姿に慄かされる。
ものすごい作品である。

ミスリードを促すような明白な差別的言動や「そこにある明白な社会的差別」は物語上のミスリードでしかなく、黒人を理解し、迎え入れ、その能力や肉体を称賛しながら品定めをし乗っ取り、利用するとする白人の図が物語上の真実である、そのとてつもなく巧い脚本構成に舌を巻いた。

そしてその「褒めてるつもり理解しているつもり」の態度、言動もまた、褒めてるつもり理解しているつもりの隠れ蓑を背負っているだけで根底にあるのは明らかな差別的言動のそれと変わらないものである。
果たして自分は、マジョリティ側に立ったとき、同様のことをしてしまったり、無意識化に自分も「彼ら彼女らを認めているつもりで無意識下に差別している」1人になっていやしないだろうか。
この物語そのものになってやしないだろうか。

とてつもなく自分のこれまでと、そしてこれからをもが怖くなってしまった。
Aimi

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