Aimi

エゴイストのAimiのネタバレレビュー・内容・結末

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

愛とエゴは紙一重なのだな…と改めて思わされた。

彼とこのまま別れられない、耐えられない。そこから出た提案、からの展開。
これは愛なのか、エゴなのか。
お金を渡し、物を買い渡し、高級な服を与え渡し。
他人から見たらエゴ、善意にみえる金持ちの施しのようにも映る。
高級な服を鎧にして自分を守ってきた浩介自身、愛がわからないと言っていた。愛をもらったこと、愛を与えるという経験が今までなかったのかもしれない。だからこんな形でしか愛を表現できなかったのかもしれない。
その、エゴなのか愛なのか、境目のないもので形成された関係は恋人を過労死させる。そうして行き場を失ったそれは、恋人の母へと相手を移す。
それは恋人を引き続き応援したいという彼なりの愛だっただろうし、彼の母をサポートすることで果たせなかった自分の母へのサポートをしていたのかもしれない。
ここまでくると他人からすると引いてしまうほどの我儘で、身勝手なエゴイストぶりに映るし彼の友人達も一様に「マジか」という反応をしていたが、だが果たして、当事者たちはそれを「愛」だと受け取っていたのだ。

龍太は彼のおかげで地獄から救われたと言った。昼夜身を粉にして働くことになっても、それでも母親に「自分はこんな仕事をしている」とやっと伝えることができたと。
妙子も妙子で、息子をそうして救ってくれたこと、そして息子が亡くなった後の孤独を癒し、病に伏せても手を握ってくれる「息子」という存在になってくれたことにどれだけ心を救われたかわからないのでは、と私は感じた。

傍から見たらエゴでも、与える側がこれはエゴだと思っていても、受け取る側が愛だと感じたら、それはもう愛なのだろう。
自分の愛もエゴも、愛にもエゴにもなるのだろう、相手の受け取り方次第で。
正反対のようで紙一重な2つのアイの形。

鋭いナイフで深く突き刺されたような衝撃を受けたような感覚がする。
Aimi

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