みかんぼうや

グローリー 消えた腕時計のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

グローリー 消えた腕時計(2016年製作の映画)
3.8
全体のレビュー数がかなり少ないわりに、フォローしているレビュアーさんが多く観ていて点数も高めなので気になって鑑賞。サスペンスでありながら、エンタメ的派手さのない淡々とした、しかしテンポの良い演出、かつ国家権力の汚職的な内容にも切り込んだ内容で良質な作品だった。

正直者で真面目な鉄道の線路補修工が鉄道に落ちていた大金を通報するところから、国家権力絡みのまさかの事態に巻き込まれていく設定も面白く、100分ほどの短尺の中でしっかり動きがあり、着地点が見えなかったのもサスペンスとしては良かった。

ただ、内容と展開はなかなかの胸糞作品で、特に運輸省の広報部長ユリア(本作の主役の1人?)が、分かりやすいクズ高官っぷりで、久しぶりに強烈な嫌悪感を抱く人物設定。それがあってこそのラストなわけだが・・・

個人的には、「正直者はバカを見る」、そして「命の価値は平等なんかではない」という監督の悲観的な視点と痛烈な皮肉的メッセージを浴びせられたようで、サスペンスでありつつも、ヨーロッパあたりの社会派ヒューマンドラマを観終わったような余韻を感じる作品だった。
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