Melko

レインボーのMelkoのレビュー・感想・評価

レインボー(2015年製作の映画)
3.8
「久しぶりのご馳走だ。10年ぶりだね!」
「あんた8歳でしょ?」
「お腹にいた時から数えた」

「ホントは見えてる?映画に詳し過ぎるよ」
「だって昔は目が見えてた。」

「一緒に虹を見ようね」

姉と弟の組み合わせ映画に弱い私。
もうどうしたってお姉ちゃんに感情移入しちゃうけど、このお姉ちゃん忍耐強いし辛抱強いし優しく勇敢で賢い。全然私とは違う、出来た姉だなぁと思いつつ、そんな姉パリーが段々不憫に思えるぐらい、弟チョートゥの危なっかしさにハラハラする。
後天的に盲目となり、食事の世話から通学、勉強、生活の何から何まで姉パリーに頼りっぱなしの弟チョートゥ。本来頭の良いパリーは弟のために2年連続でわざと落第し、弟と同じクラスになるぐらい弟に対して献身的。
なのに、そんな姉に感謝どころか、事あるごとに悪態ついてばかり、態度もデカく物凄く口も悪いチョートゥ。
”態度がデカくて口の悪い盲人”といえば、「セント・オブ・ウーマン」のアル・パチーノを思い出す。チョートゥを演じる子役の顔がなんとなくアルパチーノに似てることもあり、段々あの映画のフランクの子供時代に見えてくる。しかもチョートゥは歌がめちゃくちゃ上手い。
さすがにインド映画、シーンごとを歌で繋いでいく「らしさ」が出ていて、しかも曲が民族的すぎない今どきな感じがして良かった。
英語で喋るアメリカ人観光客と交流するシーンもあり、少しだけダイバーシティも感じる

シャー・ルク・カーンって、インド映画をあまり見たことない私ですら知ってるビッグネーム。伝説級に有名な俳優が広告塔となってる角膜手術。
そのポスターを頼りに、弟の目をなんとか治してもらおうと、撮影現場へ向かう道中。
世の中捨てたもんじゃない的な、100%善意で姉弟を助けてくれる人もいれば、100%の悪意を持った輩に人身売買されそうにもなり、ちゃんと危険な目にも遭う。
ここら辺のスパイスは、全体的に子供向けの優しいテイストの作品の中で、「子供だけで遠出することのリスク」を教えてくれる

それでも、そのピンチの切り抜け方や終盤の奇跡まで、「んなアホな」なミラクルの連続なので、リアリティには欠ける。
世界がこんな感じだったら良いよね、の希望を込めたファンタジー作品として見るべきかな

ワガママ放題のチョートゥが最後までパリーに一言も謝らなかったのだけ、マイナス。感謝の言葉もなかったかな。。ありがとうとごめんなさいは大事
優しく逞しい姉の姿から、それを学んでほしい(誰目線)
それでも、ラスト改めて感じる世界の美しさと続く姉弟の日常に、ホロッと。
交代でお話作りながら歩くのって、脳の体操にもなりそう。
Melko

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