emily

ガールズ・ロストのemilyのレビュー・感想・評価

ガールズ・ロスト(2015年製作の映画)
4.0
キム、ベラ、モモは仲良し三人組の14歳の女の子たち。学校では男子から醜いいじめにあっている。ある日彼女達は温室で不思議な花を見つける。その蜜を飲むと一時的に男に変身してしまうのだ。初めは体の違和感を楽しんで居たが。。

音楽と音の使い方が先行している。女の子たちのきらびやかな時間を浮遊感のある電子音で綴り、ドリーミーでガールズ感満載の幸せな時間と学校での酷いいじめを交差させる。冒頭からしっかり対照的に描き、キムの体の違和感は花の成長とともに交差させていく。男からのいじめは悪質で幼稚で胸が苦しくなる。そこから花の蜜により得たチカラは自ずと彼女達を強くするのだ。三人のきらびやかな時間はやがて違和感から亀裂を生み、悪と善が交差し始める。

しかし止まらない体の欲求は火がついた途端加速していく。キムが男になった時の青年が非常に魅力的だ。彼の笑顔がキュートで一瞬にして引き込まれた。確かに感じられた自分の居場所、しかし芽生える感情はモモの問いと観客の疑問が並行する。モモ達の一時的なものとは確かに違う。違和感が合致した時、さらにモモの気持ちも走り始め、様々な形の恋愛が交差する。モモの切なさとキムの体を持て余す歯がゆさが青春のモヤモヤと重なり、浮遊感とリアルが入れ混じる。

冒頭の女の子だけの世界、女同士で触れ合うことは何の違和感もなく美しさも感じる水の中の彼女達。しかしそれが外観が男に変わると一気に違和感になる。同じ人でも女と男では感じ方も態度も一変するのだ。トニーと男のキム、危うい関係に陥りそうで、それを払拭しようとするトム。入れ混じる恋愛模様が様々な行動へ導く結果となり、導かれるラストは冒頭のきらびやかな女の友情は消え去っている。しかしファンタジー要素から美しい蝶に導かれるように自分に向き合い、本当の自分を知る結果となり失った物はこれから大きな意味をもたらし未来は開けていくだろう。失うことも必要で、壊れるものも必要。それが大人への一歩で、自分探しの旅である。
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