囚人13号

デジレの囚人13号のレビュー・感想・評価

デジレ(1937年製作の映画)
4.5
女主人と召使いの歪な関係性を夢という無意識下の世界で結実させ、数日後に本人たちが別々に指摘されることで事態は深刻化するも冒頭ぶりに二人きりとなった男女はデジレの見事な長ゼリフの反復に重なる倒錯的告白で映画は言辞に屈する。
本編の九割は人物が扉の内側に位置し、それが閉じられることで人間は本性をさらけ出すわけだが室内と外の接続のみならず社交と私生活とを隔てる境界線が開け放されている、耳の遠い老女を招いた食事会の出迎えシーンは態度の切り替えが全部見えてしまうため笑いを誘う。

食事中は意地でも人物を同一フレームに収めない大胆なカット割り(凄いクレーンショット)、舞台が屋内かつ部屋の中であれば、扉の外へ出ていく人物は舞台袖へ消える役者の如く追いかけない消極的なカメラにやはり従来の映画とはまた異質な機械性を感じる。
しかし恋人同士でもベッドは別々、就寝前と夢の様子の三者三様具合を異空間を切り返して見せる鮮やかさこそギトリなんだ!
囚人13号

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